特約店インタビュー
株式会社まいど屋 代表取締役 杉田 彰様
成長の意欲を、八木社長に強く感じたんです。
八木: 宜しくお願いします。それではまいど屋さんの会社をご紹介ください。
杉田: はい。創業は私の父で、今から54年前に酒の小売り免許を取ったんです。通常であれば、私はどこか修行にいくものですが、そんな余裕も無く、一切何もわからず学校を卒業してうちへ入りました。そこからは無我夢中でやってきましたが、その後たまたま紹介で県内のある酒蔵と取引を始めたんです。その酒蔵が売れる勢いとともにうちも少しずつ伸びていくことができました。 そして、現在の店舗を作ったのが今から11年前です。それまでの店でもよかったけれど、私と妻が50歳をすぎたので、何十年も一生懸命やってきたんだから最後くらいは理想的な店でやりたいねということで店舗改装したんです。
八木: そうなんですね。では、まいど屋さんの特徴を教えてください。
杉田: 提案型のビジネスをしているところが当社の特徴ですね。ただ売るだけでなく、メニュー提案など様々な企画や提案を常に行っています。それにはやっぱり武器がいるので、そのために人材を増やしています。そして、それを広げるために営業スタッフも入ってもらっていますね。
八木: ありがとうございます。続いて、うちと取引をしていただいた理由を伺います。本格的にお取引いただいたのは2014年からでした。
杉田: そうですね、もうだいぶたちますね。私が取引する酒蔵を選ぶポイントは、蔵を実質的に動かしている人が若いことと、その人が設備投資する意欲があるかです。この二点が非常に大きい。この二点があれば、必然的に伸び代が多くなるんです。若い人がいたって、設備投資意欲がなければ若いだけの話。その意欲が八木さんと話している中で強く感じられたんです。
八木: ありがとうございます。当時から杉田社長のところは、上越で最も魅力的な酒屋さんの一つでした。正直私はそういうことを当時あまり知らなくて、こちらから十分アプローチはできていなかったのですが、結果として素晴らしいご縁を頂き、本当にありがたく感謝しています!
成功するためには、ビジョンが明確になっているか。
八木: 実際にうちとお取引をされてみていかがでしたか。まあ、ざっくばらんに。あまりダメ出しされても困るんですけど(笑)。
杉田: ハード的には吉崎さんという若く優秀な杜氏さんがいて、水は素晴らしい大出口泉水があり、米は柿崎の棚田の米がある。ハード面では三拍子揃っていて問題がないですよね。 また、取引が始まった時は、新しいブランド「八恵久比岐」が立ち上がってしばらくした時で、八木さんがそのビジョンを作り、覚悟をもってやっていく様子を近くで見て、その決意を感じました。ハード面があってもそれを引っ張るビジョンなり行動力がないとダメですから。そこが一番大事ですよ。人間どこかで覚悟を決めないと、ついてくる人はいませんよね。
八木: 「八恵久比岐」はお取引の少し前から製造をしていましたが、ブランド構想があっても、経験もないし、まず何から始めれば正解なのかわからない状態でした。やりたいことがあっても、それを始めるきっかけがなかったんです。そんなふうに、トライアル的な状態が2・3年続いた中で、杉田社長と出会い、どのように展開していくべきかの大きなヒントをいただきました。そこから、本格的に動き出しました。
杉田: 成功するにはまずはビジョンが明確になっているか。そして、そのビジョンを具現化していくためには、酒蔵と酒屋がお互いに物心両面で支えあわなくてはいけません。そうするとやっぱり自分のために動いてくれる人がいる強みっていうのがあるんですよね。一人で頑張っていると孤独感があるんだけど、一生懸命やればそれに共感してくれる人が出てくる。基本的な酒蔵と酒屋の関係は、ギブアンドテイクです。ですが、この業界はテイクを主張するばかりでなかなかうまくいかないことも多い。「売るからその市場を任せてもらいたい」っていうのは昔からありましたが、結局は「売ってくれないから他に出します」、「他に出すからうちは売れなくなったんだ」、っていうふうになってしまう。そんなことの繰り返しでしたが、この「八恵久比岐」だけは、理想的なギブアンドテイクを作りたいと思いました。もう私も64歳ですからね、理想的な仕事で最後を収めたいと考えている途中なんですよ。(笑)
一人一人が成長できるような環境を作っていくことが、私の仕事。
八木: 今後のまいどや酒店さんの目標は何でしょうか。また、うちの蔵に期待することもあればお聞きしたいです。
杉田: お客さんに満足を与え、地域に必要な存在になるっていうのが経営理念なので、それをこれからも具現化していくのが永遠の目標です。 同時にうちの社員さんがここで働いててよかったなって思える会社にすること、取引先がうちと取引してよかったなと思ってもらえるような会社にすることも大切な目標ですね。うちで働いてくれる社員や私の家族が、この会社があってよかったなと思える会社にしていかないとやってる意味がないですからね。一人一人がうちを利用して成長できるような環境を作っていくことが私の仕事です。
頚城酒造さんには、脇目も振らず邁進して、とことん進んでいってもらいたい。そして常にチャレンジをしていきながら、設定したビジョンに向かっていってもらいたいなと思っています。 何分、八木さんは性格がいいもんで、人に強いことを言えなかったり、断り切れないことがあるかもしれないところが不安ではありますが(笑)。時には心を鬼にしてダメなものはダメ、良いことは良いと言うことをやっていってもらえれば成功の近道なんじゃないかなと思います。
八木: ありがとうございます。社長の教えの通りに頑張ります!
杉田: 私たちは酒を仕入れて売るのが仕事だけど、大量にものを動かすことだけが幸福ではありません。自分で心血を注いだ商品が売れる過程を体験し、結果そのものが売れていくことが幸福感だったり、大きな達成感になるんです。 多くの酒蔵さんは、問屋を通して売るのが基本かもしれませんが、売った先が見えにくいですよね。たくさんの数を売ったって、本当にそれが幸福なのか、子どもに誇れるものなのかを考えると、取るべき行動が見えてくるかとも思います。 我々も、既に人気のある銘柄に、頭を下げて取りに行くこともできるけれど、それを取りに行って、その次に流行したものをまた頭を下げて取りに行って…の 繰り返しでは、果たしてそれが本当の幸せなのかと。お客様は喜ぶかもしれないけど、自分がそういうことをずっとやって幸せなのかと思うと、いろいろ考えますよね。 自分が良いと思っても、なかなか売れないものを売るということは、なにかしらアピールしなきゃいけない。人に言葉で説明したり、画面で説明したりすることを繰り返していかなければならないわけです。それを毎日繰り返し、工夫しながら続けていくことが最終的に酒屋にとっての大きな力になるんですね。結果、他のものだって売る力が備わるわけです。 黙っていても人気のあるものを売ってるだけでは、力にはならないですよ。「これはこういう商品だからみんなで売っていきましょう」ってしっかり説明して、みんなで理解してから、多くのお客さんに売っていくことが、本当の酒屋の力になっていくんじゃないでしょうか。
八木: それを実践できることがすごいです。社長は常々、あれもこれもとかじゃなくて、売るって決めたものを売るんだっていうことを、お付き合いを始めた当初から言われていて、ほんとうにその通りにそれができることがすごいと思いますね。
杉田: うちはいわゆる農耕型商売ですよね。種を蒔いて、育てて、刈り取るっていう。
株式会社まいど屋
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